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小説の感想、解説を書いていきます。

【短編】『花火』永井荷風

永井荷風(1879〜1959)の短編小説です。

 


小説というよりかは、とても短い随筆のような形になっています。

 

 

文庫本で15ページほどの短い内容でありながら、明治時代の日本の激動に思いを馳せていく、主人公の心情が描かれています。

 

 

パリ講和条約の記念から打ち上げられた花火の音を聞きながら、主人公は日本の過去の出来事や、自分はその時何をしていたかを追想していくものです。

 

 

永井荷風は昔一度読んだきりで、その時はそこまで強く注目することもなかったのですが、今回図書館に行った時に、彼の短編集が目についたので、なんとなく借りてみることにしました。

 


古典的な味わいを残しつつ、かつ多種にわたる知識を織り交ぜた構成をした文章が多い印象でした。

 

なのでじっくりと噛み締めるように読んでいくのがいいのかなと。

 

 

 

私はあまり学がないものですから、こうした明治時代はの出来事、たとえば日清戦争日露戦争など、歴史のターニングとなるものについて深く言及されると、少したじろいでしまいます。

 

 

近代文学を読んでいくにあたって、その時代の歴史を踏まえない道はありません。

 

 

今回永井荷風を読んで、少し自分の無知が恥ずかしくなるとともに、これからもっと吸収していける可能性もまた見えたということで、いい読書ができたんじゃないかと思っています。

 

 


それにしても、改めて近代文学の作家たちの知識には感服するしかありません。


私も見習いたいものです...。

 

では。