「カラマーゾフを読む」⑥
光文社古典新訳文庫版『カラマーゾフの兄弟』を読みながら語るコーナーです。
第3巻の100ページほどを読み終えました。
ゾシマ長老が天に召されて、心がやさぐれてしまった三男のアレクセイは、友達のラキーチンとともに悪女として語られているグルーシェニカの元へ行きます。
そして彼女の心中を聞くことになり、彼女がアレクセイの父親フョードルと、長男ドミートリィについてどう思っているのかを知ります。
彼女なりに沢山の葛藤を抱えたまま、今の三角関係の現状があるとすれば、これからの展開にもまた一つ絡んでくるものがありそうです。
「カラマーゾフ」は、神についての真理をテーマとしている平行線で、泥沼のような三角関係の話も続いていきます。後半はまさにその展開続きます。
恋愛問題といえば、どこか軽く聞こえてきそうですが、ある意味私たち人間の共通の課題であり、誰をどう愛するのかの形や姿勢は、世間に対しても自分に対しても示し続けることが試されていると思います。
側から見れば一人一人の関係性は、友達だとか恋人とか、割と簡単なもので処理できるものですが、本当の関係性はその当人にしかわかるものではありません。
ただの友達でも、お互いにはどのような存在なのか。ただの恋人でも、裏ではどんな心境で、どんな感性でもってして関わっているのか。
それは相手にすら悟られないような深いものもあります。
そしてその語られない影のような部分が、私たちの人間関係をどこまで深く、真理めいたものにしていくのだと思います。
私たちの関わる、ありとあらゆるものは人間関係が織りなすもののようです。