気まま図書館

小説の感想、解説を書いていきます。

『カラマーゾフ』を読む⑦

光文社古典新訳文庫版『カラマーゾフの兄弟』を読み進めていく中での感想などを書いていくコーナーです。

 

全5巻中、3巻の中盤くらいまでを読み進めました。

いよいよ、長男ドミートリィの気が狂い始めたような感じになっていきます。

父親フョードルの家に侵入し、おそらくは彼を殺害しました(?)。

そして彼の家から3千ルーブルを盗み、意中の人であるグルーシェニカがいる村へと向かいます。

この一連の行動前後のドミートリィは、焦りに焦っている状態で、もはや少しの余裕すらもありません。

とにかく金が必要で、誰彼構わず訪ね歩き、そして金を貸してもらえないとなると怒鳴りながらその人の元を去っていく始末です。

 

余裕のない状態の人を俯瞰してみるとこんなものかと、私は思いました。

 

私もよく仕事に遅刻しそうになったり、来月の家賃が払えなさそうだったりするときは、ひどく焦ります。

そして周りを見渡す余裕も醸し出せないままに、後手後手になりながら行動にうつすのです。

内面は沢山の色のペンキをぶちまけたかのようにぐちゃぐちゃな心境になり、身体は焦って思うように動きません。

そして最悪の結末が近づいていくことを薄く感じ取っている中で、それがどんどん色濃くなっていくごとに、恐怖心は肥大していくのです。

 

こんな時は、誰かが優しく手を差し伸べてくれることで、以外な活路を見出せたりもするのですが、彼の場合は違いました。

 

これがのちにまた悲劇を生むのですが、それはまた次回のお楽しみにしておきます。

 

では。