【長編】『カラマーゾフの兄弟』フョードル・ドストエフスキー【読了】
遅くなりましたが、ようやく、カラマーゾフの兄弟を全て読み終えました。
文庫本全部5巻にして、2000ページほどの大作でもあり、作者が長年温めてきた作品ともあって、読み終えるのにとても時間がかかりました。
最初読んでいる時は、かなりキリスト教色の強い作品だなと、やはり海外の古典文学はそういう宗教味が強いのは仕方がない、その前提を踏まえた上で読み進めていくしかないと割り切っていました。
それが知らぬ間に、登場人物の語る世界観の真理的な面に魅了され、癖になったかのように読み進めていました。
電車に乗っている時とか、トイレの中とかでも、少しでも時間が有れば読むようにして、なるべくストーリーの流れを円滑に進めていくために意識を働かせる感じに読書をしていたのです。
そのうち、この作品の展望が見えた気がしました。
結局はこのカラマーゾフの兄弟の良さを全て理解できたとは言えないかもしれません。
かの文学の評論家、小林秀雄は「続編を想定して書かれたものだが、続編が発売されずとも完璧ともいえる出来栄え」だと評していましたが、私にとっては続編ありきで書かれたものだという感が否めません。
作者のドストエフスキーは二部構成であることを前提にこれを書いたと始めに記しているのが納得いくほどに、余韻を残した締めくくりになっています。
その余韻がまたいい味を出しているのでしょうか。
私はこれからの登場人物がどう動き出すのか、それもまた知りたかったなという気持ちです。