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小説の感想、解説を書いていきます。

【読書中】『カラマーゾフの兄弟』/フョードル・ドストエフスキー

 

 


あまりにも長い作品ですので、読み終えるまでにこうして何度か感想を考えていかないと、まとめきれないような気がしました。

しかしそれをしたとて、この文学界の大傑作とも言われているドストエフスキーの生年最後の作品は、うまく語れる自信もありません。

それでも、文庫本にして全5巻あるうちの4巻までは読み進めることができましたので、少し語ろうかと思います。

 

ドストエフスキーの作品全体に言える特徴として、登場人物の長い台詞があります。

代表作の一つ『罪と罰』でも、序盤に数ページはあろうかという長さでがなりたてるシーンがあったりしますし、彼の作品では基本的に、登場人物が言語化していく内容から読み取れるものが多々ありそうです。

 

今回の作品では、メインのカラマーゾフ3兄弟の身の回りに起きる出来事を軸として話が進んでいきます。

情熱的な長男、クールで知性のある次男、キリスト教信者でカリスマ的人気のある三男が織りなすストーリーです。

一応主人公のポジションは三男に充てられそうな感じですが、長男、次男をメインとした話が長く続いたりすることもあるので、さまざまな人物の視点を楽しむことが良いかと思います。

 

この小説は、ネット等で調べてみると面白いのですが、文学界では非常に高い評価を得ています。

かの村上春樹もかなり贔屓に見ている作品のようでして、世界中でも人気のある作品です。

その情報を鵜呑みにしてチャレンジした方も沢山いることでしょう。

そして多くの人がその話の長さ、難解なテーマや現代文学との温度差に嫌気がさして、読むのを断念したのではないかと、容易に想像がついてしまう次第です。

 

私も今のところ、そうそう面白い小説だという実感もありませんが、この作品一つにさまざまなジャンルが組み合わさったものであることは何となくわかる気がします。

 

主に目立つところはキリスト教のあり方が問われている点ですが、他にもカラマーゾフ親子が交錯する恋愛小説的なところ、それに伴った一つの殺人事件をめぐる推理小説的なところなど、多岐にも渡るジャンルが魅力です。

その上、全体的な雰囲気は変わることなく、ロシア文学独特の雰囲気が味わえるものとなっております。

 

しかし、やっぱ正直言って難しいものは難しいです。

私も背伸びしてたくさんの本を読んできましたが、難解なロシア語を和訳された、200年ほどの前の文章を読み進めたとて、そうそう魅力がわかるわけではありません...。

 

でもその感想を大切にするのもまたありかなと思います。

それでまた気づく魅力もあるだろうし、これから先きっとまたリベンジすることもあるでしょう。

文学はただの文章ですが、その分一つ簡単に説明できるものではないことは百も承知のつもりです。

 

 

とりあえずはまた続きを読もうかと。